「その人らしさ」を奪われる?

生まれながら、耳が聞こえない方のお話です。

知的障害もあります。
手足も少しマヒしています。

字を書くと、震えた手で書いたような
字になってしまいます。
食事を食べ終わるのは、いつも最後です。

よっちゃんは、
知的障害者の施設に通っています。

ある日、
「好きな食べ物は何か?」
という話題でみんなで
盛り上がっているときでした。

「好きな食べ物は?」

と誰かが紙に書いて、
よっちゃんにも質問をしました。

そのとき、まわりでは、

「焼肉?」
「寿司?」
「ケーキ?」


などと勝手に質問する人が大勢、
よっちゃんを取り囲みました。

でも、よっちゃんには聞こえていません。

まあ、それでも、
耳が不自由な方への配慮が
うまくできない人が多いので、

「早く書いてよー」
「なになに?」

ってせかす人もいました。

そして、みんなが注目する中、
時間をかけて、
よっちゃんがやっと書いた「ことば」は、







「おいしいもの」

でした。



「・・・・・・?」

「ええ~っ!?」

ズッコケる格好をする人や、
その答えに納得しない人が多い中、

私はとても大切なことに気づかされました。

まわりの、余分な声が聞こえなかったからこそ、
よっちゃんらしいことばが書けたのです。

「焼肉?」って、聞かれたら、
たぶん「うん」ってうなづいて、終わっていたでしょう。



---------------------------------
◎作業療法士の【支援セラピー】
---------------------------------

せかしてはいけない。
先回りして情報を与えすぎてはいけない。

立場によっては、
「その人らしさ」を、
簡単に奪われてしまう・・・
ことが多いのかもしれません。

---------------------------------

「何が好き」「何が嫌い」じゃなくて、
「おいしいものなら何でも好き」
と思えるよっちゃんは、
楽しいことは、何でもやる。
やさしい人は、みんな好き。

だから、
まわりの人が何を話してるのかわからず、
会話についていけなくても、

いつも笑っちゃってます。

わかった!
まだなんとなくだけど・・・。
ありがとう! よっちゃん!

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック