「だれかのマネ」ばかりでもいいんです。

リハビリ施設に通う、体と言葉が不自由な方のお話です。

「わたしも・・・あのう・・・だから・・・あれっ、あれ・・・」

言葉が不自由なマリエさんが、身振りで必死に私に何かを訴えてきました。
「脳卒中で右の手足が不自由、車椅子生活、言葉が不自由」という、
同じ状況の仲間の方を指差していました。

いつもおだやかで、にこやかなマリエさんですが、
このときは、怖いくらいに真剣な目をしていました。

「これはただ事ではない」
と、じっくり話を聞いてみると、

最近、杖を使って歩けるようになった仲間のように、
「自分も歩けるようになりたい」といっていることがわかりました。

言葉にならない前向きな「言葉」は、

「私もあの人のように、車椅子を『卒業』したい」
でした。

ある日突然、体の自由だけではなく、
同時に、言葉の自由も奪われてしまったのですから、当然ですが、
何ごとにも自信が持てない人でした。

新しく何かを始めるときには、必ずといっていいほど驚いたような顔をして、
「できない」と、とりあえずいってしまう人でした。

「できない」が、口癖でした。

人に介護されることに慣れきってしまい、
車椅子に乗っていることが当たり前だったマリエさん。

そんなマリエさんが、半年後にめでたく車椅子を卒業することができたのは、

「あの人のようになりたい」
と心が動き出してからでした。

マリエさんは、リハビリ施設という小さな館の中で、
大きく飛び立つことができました。

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  ● 作業療法士の【支援セラピー】
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「私はあの人とは違うから」
「あの人は特別で、私は・・・私なんか・・・」
という人よりも、
「あの人みたいになりたい、あの人と一緒がいい」
そこから始まることもあります。

「だれかのマネ」って、よくない意味で使われることもありますが、
何も始められないよりはましです。

とりあえず、マネをするところから始めてもらいましょう。
「だれかのマネばかり」でもいいんです。
 モノマネを推奨しましょう。

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