問題を解決しないことに付き合う。【咲いた花盗難事件編】

「ぼけてもいいよ」「おばあちゃんが、ぼけた。」などの著者で、
「宅老所よりあい」の所長をつとめる村瀬孝生さんの、
以前勤めていた特別養護老人ホームでのできごとです。


老人ホームに入居している元校長先生のおじいちゃんは、
花を育てるのが好きでした。

美しく咲いた花を見て、みんなが喜んでくれるので、
一生懸命に花を育てていました。


でも、せっかく咲いた花を、
すぐに盗んでしまう人がいました。


98歳のおばあちゃん、ハツさんが、
花を摘み取ってしまうのでした。



認知症のハツさんにはまったく悪気がありません。

「咲いた花盗難事件」は頻繁に起きていました。

そのたびに
激怒する元校長先生。

このままでは、ハツさんが
カギのかかった部屋に入ることになってしまいます。

老人ホームにハツさんの居場所がなくなってしまう。


村瀬さんは考えた。

自分たちにできることは何か?
自分たちにできることは何か?


それは、


ひたすら謝ること。
とにかく謝ること。




「すみません。気をつけていたんですが・・・・・・」


激怒していた元校長先生と、しばらく話をすれば、
笑みもこぼれ出します。

「あんたも大変だね」とねぎらったりもしてくれます。



この「咲いた花盗難事件」という経験に対して、
村瀬さんはこう言っています。


「老人ホームに勤めて思ったこと。

それは、

自分が何も分かっていないということ。
さらに無力であるということ。

だから、お年寄りに振り回されっぱなし。

でもそれって悪いことじゃないと思う。

ハツさんは花を盗み続け、
元校長先生は怒り続ける。
そしてぼくたちはふたりの間で謝り続ける」



「僕たちの仕事は解決することではなく、
解決しないことに付き合うことなのかもしれない」
(村瀬孝生)



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●【支援セラピー】*^^*
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「解決しないことに付き合う」
という「引き出し」も持っていたい。

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■出典 → 「おばあちゃんが、ぼけた。」 村瀬孝生(著)
        「ぼけてもいいよ」 村瀬孝生(著)

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この記事へのコメント

2009年06月21日 12:08
この話は「深イイ」って思いました。
知的障害者の施設にいると度々同じような事件がおきます。
しかし対処療法的にその場を解決させても、何ヶ月かするまた別の事件が起きます。
こだわりと「付き合う」と言う表現が正しいか判りませんが、こだわりを止めるだけが支援では無い気がしてきます。
ごとお
2009年06月21日 17:33
Heartさんへ
知的障害者の施設では、「こだわり」への対応は、大きなポイントなんでしょうね。「こだわりを止めるだけが支援では無い」。ほんとにそう思います。「つきあう」という視点の大切さをあらためて感じました。コメントありがとうございます。

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